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前書 ゲーム理論を人生に役立てる
皆さんは、ゲーム理論という研究分野を聞いたことがあるでしょうか?ゲーム理論とは、複数のそれぞれのプレーヤーが、お互いに状況や相手に影響を与え合いながら、それぞれの目標を達成しようとするときの望ましい戦略や最適の結果を研究する理論です。こう言うと、ちょっと難しいですが、もともとはトランプゲームやチェスなどの必勝法を発見する為に開発された科学分野だと説明すると分かりやすいでしょう。
あまり知られてはいませんが、経済学や軍事学等に応用され、学問分野として確立されています。このゲーム理論を生物学に応用した分野は進化ゲーム理論evolution gameと名づけられています。20世紀に開発された比較的新しい理論です。
動物の進化という側面に的を絞ったゲーム理論の研究分野で、今政治等でよく使用されるタカ派やハト派の言葉のルーツともなった学問ジャンルです。
ただ、進化ゲーム理論は今の時点では動物同士での行動しか分析の対象にはなっていませんでした。また、特殊な機関での専門研究という印象が未だに存在し、名前は何となく聴いた事がある方々にとっても、その内容が詳しくはわからないというのが実際でしょう。
まあ、逆に言うとそれだけ発展途上の研究分野なんですね。
筆者は本々はドストエフスキーについての文学研究を専門に行っていましたが、最初は研究手法の1つとしてゲーム理論を文学理論に応用できないか模索している際に進化ゲーム理論と出逢い、その優れた理論に魅了され、いつの間にか我知らず筆を執っていました。
生命がその究極の目的を自らの生命の保全と遺伝子の伝達だとするならば、人間の諸行動が生存と子孫繁栄を目的とした行為ということもできましょう。
そうであれば、われわれの行動は全て何らかの戦略に基づく行為だということが出来るでしょう。
人間がこうして意識的無意識的に用いる戦略行為を今著では生殖能力の違いによる男性と女性の戦略の異なり、安定戦略の説明、各戦略の歴史的発展、分析テストやコラムなどを交えながら詳しく説明してまいります。
皆様が有意義な人生を送れるようお役に立てましたら幸いです。
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