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Contents

構成 前書き
1章 2章
3章 4章
5章 6章
コラム集 後書き

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桃井富範個人のページ

ここまで筆者は4つの進化戦略と16の組織戦略に関する説明を行いましたが、今章では男性と女性の生殖機能の異なりより、男性と女性の行う戦略の性差について説明を行います。
 この章より、それぞれの生殖能力の特徴と、その性差、そしてそこから導き出される男性と女性の戦略の異なりを概観することが出来ます。



男性戦略―万人の万人に対する戦い

 私は先ほど、4つの進化戦略、ハト派の説明の場面で、男性は一般に対戦型コミュニケーション戦略が多いと述べました。
 それは何故かと言うと、人間の男性の生殖能力が拡散型だからです。男性は、その気になれば、短い時間で複数の女性に生殖行動を行うことが出来ます。
 それこそ1人の男性が15歳ぐらいから性に目覚めて、その後毎日5人の女性と生殖行動を続けていたとしましょう。そうして75歳で寿命を全うしたとします。そうすれば、人間は5人×365日×60年=何と、109500人もの女性と理論上性行為を行うことが出来てしまうのです。その性行為で子供が生まれる可能性を20パーセントと見積もったとしても(実際の確率は定かではありませんが…)21900人の女性との間に子供を設けることが出来ちゃうんです。
 ところが、実際問題として、男性と女性の数の比率は殆ど1:1と言っていいでしょう。
 それゆえに、男性には熾烈な争いが起こってしまうのです。何故ってより多くの子孫を後代に残したいという自己保存本能が原因です。これは、生物の特質として全ての男性に埋め込まれてしまっているのです。
 簡単に説明するならば、世界に1000人の男性と1000人の女性がいたとすると、意識の中で、あるいは少なくとも、間違いなく本能では1000人の男性はその全ての1000人の女性と性行為を行い、子孫を設けたいと思うはずです。しかしながら、ご存知の通り、女性はそんな簡単に沢山子供を産むことは出来ません。
 1000人の女性を独り占めしてしまいたいという男性が1000人いるのですから、当然そのパイを巡る争いが起こります。何度もいいますが、これは幾ら教養を身につけ、高い地位に立っていたとしても、本能に仕組まれている為に避けられません。
 まさに、ホッブス(倫理の授業で聞いたことがあるのではないでしょうか?)の言ったように、「万人の万人に対する闘争」が生まれてしまいます。世界に存在する殊男性同士の争いはここから発生します。
 悲しい結果です。
 これが永久に続けば、人が人を憎しみあい、殺し合いの絶えないまさに恐怖の世界です。当然ながら、そんな世の中では、男性は生殖に成功したとしても、その女性を奪われてしまったり、子供を殺されてしまったりしてしまい、全員満足な子育ても出来ません。困りました。  ですが、そんな絶え間ない争いに疲れ果てた人類は、ある画期的な制度、進化ゲーム理論で言うところの安定戦略を発明しました。
 それが結婚という制度です。
  この結婚という制度については安定戦略の章にて詳しく述べますが、簡単に言うと、1人に就き1人までなら女性は男性と、男性は女性と生涯お付き合いして、子供を残していいよ、という安定戦略が取られたのです。
 ですが、そうなると今度は新たなる争いが発生します。それは、子孫の存続に適した優秀な女性を獲得する争いです。
 つまり、飛びぬけて美人だったり(当然ながら、容姿が端麗だというだけで、子孫繁栄に適正があります)、女性の家が資産家だったり(当然裕福なほうが子孫繁栄に適っています)、女性の頭脳がとても優秀だったり(子供に質の高い教養を身に付けさせ、子孫繁栄に役立てます。)するパートナーを選ぼうと努力するのです。
 当然ながら、結婚等の安定戦略が存在していても、最初に述べたとおり、男性にはより多くの女性と生殖行為が簡単に行えてしまう為に、ちょっと油断すると、不倫や浮気などを行ってしまいます。男性諸君は歳をとるにつれて、皆お互いのその習性を感得するようになりますから、他人に自分のパートナーを奪われないか心配且つ油断があれば、「不倫のひとつぐらいしちゃうぞ、ムフフ」という男達の集まりの苦しみの中で死ぬまで収束のない男性同士の闘いに苦しみます。

女性戦略

 それでは今度は女性戦略を分析しましょう。筆者は男性戦略と同じく4つの進化戦略、ハト派の説明の場面にて、女性には協調型コミュニケーション戦略が採用されているという説明を行いましたが、それを女性の生殖能力から説明しましょう。
 女性の男性とは異なる特徴は、自らの体内に子供を約10ヶ月にわたって宿し続けるという点です。当然ながら、その期間は子供を宿した以外の男性の子供の出産が出来ないのです。さらに性に目覚めてから一生が発情期ともいえる男性とは異なり、一定の年齢にて生殖能力を失ってしまいます。
 計算すると、女性が13歳にて性欲に目覚め、その後閉経迄に(この数値を33年と3ヶ月と仮定します)性行為と出産を絶え間なく繰り返したとします。33年と3ヵ月は月に換算すると、399ヶ月ですから、それを出産にかかる期間10ヶ月で割り算をすると、399÷10=39.9人、つまり40人にも満たない人数なのです。
 ギネスブックに最も子供を産んだ女性が69人を出産したとの記録がありますが、当然これは3つ子や4つ子を含めた驚くべき人数と言えます。
 ここで、女性の生殖能力と男性の生殖能力を比較してみると、自ずから男性と女性のとる生殖戦略が明らかになります。ちょっと箇条書きで説明しましょう。

@10ヶ月=300日として、男性は300日×5人=1500人と性行為を行う能力があり、そのうち20パーセントの女性に子供をもうけるとして、300人のより多くの女性の間に子孫を残すようにプログラミングされた男性が女性とおよそ1:1の比率で存在する。一方女性は10ヶ月に1人の子供を産むのが限界であり、さらに子供を生む能力のある時間が人生の約半分であるから、その結果として、男性と女性との恋愛には驚くべき競争倍率の差が生まれる。
 概算すると、300(男性の10ヶ月の生殖能力)×2(生殖能力のある男性と生殖能力のある女性との比率)=600倍です。
 言い方を変えると、女性は男性を選ばず、たとえ男性が複数の女性との間に子供を設けてもいいと言うのであれば(先程述べた万人の万人に対する闘争の社会では)、何と、男性の600分の1の努力で子供を産むことが出来ちゃうんです。ですが、そういう社会は所詮万人の万人に対する闘争の社会の為、男達は皆闘争や殺し合いを繰り返し、女性も子供を無事出産できるかどうかわからず(子供の父親となるべき男性が殺され、その女性が無理やり堕胎させられる可能性がある)、よしんば子供が生まれたとしても男性ならば、父親やそれ以外の男性にとって自らの生殖のライバルとなってしまう可能性がある為、すぐ殺されてしまう可能性があります。ちなみに女性が協調戦略をとるのは、生殖能力の特徴から女性同士の争いが男性ほどは必要ない、子供を身篭ってから、少なくとも出産までの10ヶ月がとても無力な為、また先程述べたように、一人の子供を出産するまでのコストが男性の600倍あるために、争いが存在しては無事子孫を残せないからでしょう。また、女性にとっては男性が複数の女性との間に子供を産むのは得策ではありません。自分の子供に金銭の投資や教育があまり施されず、さらにその行為を行った男性がそうでない男性達からスパイト(制裁・嫌がらせ)行動を受けるからです。
 当然同一の男性の子供を産んだ女性同士にも男性の教育や資源を巡る争いが発生する為、万人の万人に対する闘いは男性にとっても、女性にとってもメリットがありません。そうして、結局は安定戦略を選ぶようになります。

Aさて、安定戦略として、男性と女性が結婚という制度にて結びつくようになると、今度は男性と同じく女性の間でもパートナー選びの競争が起きます。
 パートナー選びの競争のエッセンスは男性と同じく、容姿が端麗で裕福、頭脳優秀な男性を選ぼうとするのですが、男性との違いは、1.安定戦略はとられていても、本能ではやはり男性の600倍余裕がある。2.男性と異なり生殖を行える年齢に限りがある。3.子供を自分の体内で育てなければならない為、その間保護を必要とし、男性に逃げられてしまう可能性すらあり、依然として生殖のリスクが高い。4.生殖に関する女性同士の争いは少なく、同性同士の協調型コミュニケーションが基本である、等の特徴を持ち続けます。
 その結果として、女性は自分に言い寄ってくる男性には不自由しないものの(当然ながら男性のほうが600倍競争率が激しい)、女性はその中でより優秀な、子供を身篭ってからも逃げないような男性(より自分を愛してくれる男性)をゲットする必要があるのです。
 それゆえに、女性の心中は「私に言い寄ってくる男はいくらでもいる。でも、私がおばさんになっても愛しててくれるような真摯、優秀そして魅力ある男性を1人ゲットしなきゃ」となります。 そんな女性の生殖戦略として最高の武器は男性を嫉妬させる能力です。ちゃんと子育てや教育を施すかどうかを別にすれば、女性は男性の600倍もてるのです。その為、ターゲットの男性に服従するようなフリをしてその後それ以外の男性にも気があるような素振りをして男性を嫉妬させ、服従する、その繰り返しを行いながら、男性を振るいにかけ操り、自分と自分の子供を育て、自分が歳をとって生殖能力を失っても浮気をしないような男性をゲットするのです。男性間の争いは殆どの場合女性が男性を振るいにかけている時期に起こります。             

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